日頃よりほくほく線をご利用いただき誠にありがとうございます。また、弊社の事業運営に関しまして、ご理解とご支援をいただいていることに深く感謝申し上げます。
弊社では、開業以来「常に『安全』最優先」を安全基本計画の最重要課題として掲げ、安全・安定輸送の確保に取り組んできました。その結果、人的な鉄道運転事故を発生させることなく安全な輸送を提供することができました。
一方、2019年度は全国的に台風など、自然災害に見舞われた年でもあり、弊社におきましても10月、台風19号が接近した際は、開業以来初の計画運休を実施致しました。台風に伴う被害は、大池いこいの森駅~くびき駅間で、倒木による電気設備の損壊などが発生いたしましたが、計画運休実施中に発生したため、結果としてお客さまの安全にかかわる事象等を避けることができました。
今後も、開業から現在に至るゆるぎない『安全』に対する姿勢をベースに、お客さま・社員ともに笑顔になる鉄道『ほくほくスマイルレール』を目指し、便利で快適な輸送を提供するために、安全・安定・安心輸送に取り組んでまいります。
2019年度のご利用者数は117.1万人(前年比92%)となり、これにより年間ご利用者数は11年連続の100万人(※)を達成することができました。※普通列車のみのご利用者数
2015年以降、弊社は北陸新幹線開業に伴う特急『はくたか』の廃止により厳しい経営環境に置かれることとなりましたが、その状況を少しでも改善すべく様々な施策を進めているところです。それら施策として、2017年度より第三セクター鉄道初となる、佐川急便(株)との貨客混載輸送を実施しているほか、2018年度には今後の鉄道事業の継続を鑑み運賃改定をさせて戴きました。いずれの施策につきましても、お客さまにご負担をおかけするところでございますが、ご理解とご協力をお願い申しあげます。
一方、イベント列車の運行等にも積極的に取り組んでおり、特に『超低速スノータートル』につきましては、2019年度も3回催行致しました。その中でも『ナイトタートル』の企画は、2019年度の『鉄旅オブザイヤー』のグランプリを受賞いたしました。『超低速スノータートル』は鉄道ファンのお客さまを中心にリピーターのお客さまも多く、ご参加の皆さまから大変ご好評をいただいており、今後も継続実施をして参りたいと考えております。
新型コロナウイルス感染症を取り巻く、今後の状況も心配されるところですが、沿線市町のご協力をいただき、『ふるさと納税』の返礼品として、鉄道のバックヤードを見学いただくツアーを計画するなど、引き続きほくほく線をより身近に感じていただける取り組みを、積極的に行います。
私たちは、これからも鉄道事業者として各種法令等を遵守するとともに、輸送の安全確保をより強化するために、社内の安全推進会議等での安全に関する課題等の議論・検討・改善、細部にわたる車両・設備の保守点検の実施、社員教育の充実に取り組みます。そして引き続き、安全で安心してご利用いただける鉄道として努力してまいります。
併せて、沿線地域の皆さまと共に歩む鉄道会社として、便利なダイヤづくり、快適な車両・設備の提供に努めるとともに、引き続き各種イベント等の企画を行い、沿線の皆さまはもちろん、ご利用のお客さまに親しんでいただけるような取り組みを進めます。
この報告書は、2019年度に弊社が取り組んできた事故防止や社内安全体制について、広くご理解いただくために公表するものです。お客さまからの声を、輸送の安全や業務の改善に役立てたく、積極的なご意見をいただければ幸いです。
代表取締役社長 小池 裕明
当社は開業当初から「安全・安定輸送の確保」を経営の最優先課題に据え、「安全な輸送こそが最大の使命」との強い決意の下、取り組んできました。
これまで内部監査体制の確立、異常気象に起因する輸送障害の軽減、大事故を想定したリスク管理体制の構築、ヒヤリハットを共有するためのシステムの活用等、様々な取り組みを実施することで安全管理体制の強化を図ってきました。
その結果、開業以来今日まで列車脱線や列車衝突等、鉄道運転事故の発生はなく、併せてお客さまや社員、協力会社社員の死傷事故についても発生はありませんでした。
なお、当社の安全管理体制については、次の表に示すとおりです。
【安全管理体制組織図】
安全統括管理者 | : | 輸送の安全の確保に関する業務を統括する |
運転管理者 | : | 安全統括管理者の指揮の下、運転に関する事項を統括する |
施設管理者 | : | 安全統括管理者の指揮の下、鉄道施設に関する事項を統括する |
車両管理者 | : | 安全統括管理者の指揮の下、車両に関する事項を統括する |
財務・要員管理者 | : | 設備投資、財務及び要員に関する事項を統括する |
乗務員指導管理者 | : | 運転管理者の指揮の下、運転士の資質の保持に関する事項を管理する |
(1) 私たちは、基本動作を励行し、安全・安定輸送の確保を図ります。
(2) 私たちは、真心をこめたサービスに徹し、お客様に信頼される鉄道をめざします。
(3) 私たちは、常に業務の刷新に努め、活気ある明るい職場をつくります。
この基本方針を達成するため、2018年度の安全計画において「常に『安全』最優先(お客さまと社員、協力会社社員の死傷事故:ゼロ)」という具体的な目標を掲げて、安全で安定した輸送サービスの提供に取り組んできました。
また、2007年に制定した「社員行動規範」に則り、法令遵守と安全確保を実現するべく、全社員で行動してきました。
(2) 規程の遵守は、安全の基礎である。
(3) 執務の厳正は、安全の要件である。
(2) お客さまに信頼される鉄道
(3) 社会への適切な情報提供
(4) 地域社会への貢献
(5) 個人情報等の厳正な管理
(6) 公正公平(適正)な取引
(7) 反社会的勢力に対する毅然とした姿勢・絶縁
(8) 会社財産の厳正な管理
(9) 働きやすい職場づくり
これら安全推進会議での審議決定により、安全マネジメント体制におけるPDCAサイクルを確実に実践することができました。
また、異常時を想定した対応訓練を毎年地元の消防機関等と合同で主に夜間時間帯で実施しています。(2019年度は、総務省消防庁主催の『緊急消防援助隊 北海道東北ブロック合同訓練』に参加する形で実施する予定でしたが、台風19号による被害に伴う消防活動等を鑑みた、消防側からの要請を受け中止と致しました。)
- 【本線上での乗務員実設訓練】(現車走行訓練)
- 【脱線復旧訓練】
- 【カッター車取扱訓練】
- 【検電・接地訓練】
- 【保守用車脱線復旧訓練】
- 【解放てこ取扱い訓練】
- 【危険予知訓練】
- 【列車防護訓練(軌道短絡器取扱訓練)】
研修機関 | 研修名 | 受講者数 |
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日本鉄道運転協会 | 運転理論(運転曲線)講習会 | 1名 |
日本鉄道車両機械技術協会 | 車両検修における技術継承研修会 | 2名 |
鉄道総合研究所 | 鉄道車両技術概論 | 1名 |
北陸信越鉄道協会 | 安全対策指導に関する技術研修会 | 2名 |
新潟県労働基準協会 | 玉掛け技能講習・床上操作式クレーン技能講習 | 1名 |
鉄道電気技術協会 | 電車線技術・電車線路の安全 鉄道通信課・通信ネットワーク技術 | 各1名 各1名 |
日本無線協会 | 無線従事者(第3級陸上特殊無線技士)養成 | 1名 |
JR東日本新潟支社総合訓練センター | 運転士運転取扱訓練 | 5名 |
その結果、安全で安定した輸送の確保を実現することができました。
- 動力車操縦者運転免許試験の様子
◆レール交換および更新 | 2,760万円 |
---|---|
◆トンネル修繕(覆工補強・漏水修繕) | 460万円 |
◆橋梁修繕(架道橋飛雪防止工・架道橋防水修繕など) | 1,820万円 |
◆六日町駅外3駅CTC駅装置更新 | 6,225万円 |
◆浦川原変電所ほか2箇所蓄電池制御盤更新 | 730万円 |
◆十日町・松代変電所遮断器更新 | 902万円 |
◆魚沼丘陵・しんざ間ほか2区間支持がいし更新 | 1,715万円 |
◆大池いこいの森・くびき間ハンガイヤー更新 | 470万円 |
◆まつだい構内ATS-P符号処理器更新 | 782万円 |
年度 | 2015年度 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 |
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鉄道運転事故件数 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
死傷者数 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
今後とも係員に起因する輸送障害「ゼロ」の目標に向けて、社員教育の充実及び基本作業の徹底を推進します。
年度 | 2015年度 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 |
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自然災害 | 0 | 5 | 6 | 3 | 3 |
その他輸送障害 | 3 | 2 | 0 | 0 | 2 |
貨客混載輸送は、六日町駅~うらがわら駅間の定期旅客列車に荷物台車(カーゴ)を積載し、荷物を運送するもので、平日夜間の上下各1本の列車で実施しています。ご乗車のお客さまにはご迷惑をおかけすることがあるかもしれませんが、ご理解ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
スノータートル(6月開催)
スノータートル(10月開催)
スノータートル(2月開催)
パン列車(5月、11月開催)
はじめてのおつかい電車(8月開催)
ビアほくほく(9月開催)
よさこい列車(10月開催)
ハロウィン列車(10月開催)
またご乗車の際、駆け込み乗車は大変危険ですので余裕を持ったご乗車にご協力をお願いします。併せまして、他のお客さまの迷惑となる行為等についてはご遠慮いただき、乗車マナーを守ってすべてのお客さまが快適にご利用いただけますようご協力をお願いします。