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北越急行株式会社
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北越急行 安全報告書(2014)
利用者の皆さまへ
 いつも「ほくほく線」をご利用いただき誠にありがとうございます。また、平素は弊社の事業運営に対して、ご理解とご支援をいただきまして深く感謝を申し上げます。

 鉄道事業を営む弊社では、2013年度につきましても「常に『安全』最優先」を安全基本計画の最優先課題として目標を掲げ取組んできました。その結果、大きな事故の発生もなく順調な輸送を確保することができました。
 2014年度は北陸新幹線開業を翌年春に控え、わが社を取り巻く環境が大きく変貌する年となりますが、安全に対する姿勢を揺るがすことなく、お客さまへのさらなる便利で快適な輸送を提供すべく、あらためて社員一丸となって安全・安定・安心輸送に取組んでまいります。

 輸送概況につきまして、昨年は例年になく自然災害による輸送障害が著しく少なかった事や、ご利用状況につきましても更なる改善傾向を示しており、特急「はくたか」のご利用実績につきましては前年比較103.7%の290.5万人となりました。一方、普通列車においては前年比較98.8%の111.0万人となり、多くのお客さまからご利用を頂き、5年連続の100万人を達成することができました。

 私たちは、これからも鉄道事業者として各種法令を遵守するとともに、輸送の安全確保をより強化するために社内における安全推進会議等を有効活用すると共に、社員教育の充実や細部にわたる車両および設備の保守点検に取り組むことで、引き続き安全で安心してご利用いただける鉄道を目指して参りますので、今後ともご支援をよろしくお願い申し上げます。

 この報告書は、2013年度に当社が取組んできた事故防止や社内安全体制の実態について、広くご理解いただくために公表するものです。
 皆様からの声を輸送の安全に役立てたく、積極的なご意見を頂戴いただければ幸いです。
北越急行株式会社
代表取締役社長 大熊 孝夫
当社の安全体制
 当社は開業当初から「安全・安定輸送の確保」を経営の最優先課題に据え、「安全な輸送こそが最大の使命」との強い決意のもと、取組んできました。
 これまで内部監査体制の確立、異常気象に起因する輸送障害の軽減、大事故を想定したリスク管理体制の構築、ヒヤリハットを共有化するためのシステムの活用等、様々な取り組みを実施することで安全管理体制の強化を図ってきました。
 その結果、開業以来今日まで、列車脱線事故や列車衝突事故等の発生はなく、併せてお客さまや社員および協力会社社員の死傷事故についても、発生はありませんでした。
 なお、当社の安全管理体制については、次の表に示すとおりです。

【安全管理体制組織図】
安全管理体制組織図
安全統括管理者輸送の安全の確保に関する業務を統括する
運転管理者安全統括管理者の指揮の下、運転に関する事項を統括する
施設管理者安全統括管理者の指揮の下、鉄道施設に関する事項を統括する
車両管理者安全統括管理者の指揮の下、車両に関する事項を統括する
財務・要員管理者設備投資、財務及び要員に関する事項を統括する
乗務員指導管理者運転管理者の指揮の下、運転士の資質の保持に関する事項を管理する
安全を確保する取組み
(1)基本方針と安全目標
 当社は、以下に掲げる指針を安全の基本方針として定め、社長以下全社員が始業時にこれらを唱和しています。
(1) 私たちは、基本動作を励行し、安全・安定輸送の確保を図ります。
(2) 私たちは、真心をこめたサービスに徹し、お客さまに信頼される鉄道をめざします。
(3) 私たちは、常に業務の刷新に努め、活気ある明るい職場をつくります。
 この基本方針を達成するため、2013年度の安全計画では「常に『安全』最優先(お客さまと社員、協力会社社員の死傷事故:ゼロ)」という具体的な目標を掲げて、安全で安定した輸送サービスの提供に努めてきました。
 また、2007年に制定した「社員行動規範」に則り、法令遵守と安全確保という大きな目標に向って全社員で実践してきました。
【安全綱領】
(1) 安全の確保は、輸送の生命である。
(2) 規程の遵守は、安全の基礎である。
(3) 執務の厳正は、安全の要件である。
【社員行動規範】
(1)法令等の遵守と企業倫理に則った適切な行動
(2)お客さまに信頼される鉄道
(3)社会への適切な情報提供
(4)地域社会への貢献
(5)個人情報等の厳正な管理
(6)公正公平(適正)な取引
(7)反社会的勢力に対する毅然とした姿勢・絶縁
(8)会社財産の厳正な管理
(9)働きやすい職場づくり

(2)輸送の安全確保のための具体的な取組み
① 安全確保のしくみ
 当社では安全統括管理者を議長とし、経営トップから各現場の長までを委員とした安全推進会議を社内に設置しており、安全計画で策定した実行目標の達成状況の検証や運転事故・傷害事故等の原因究明、再発防止策の検討、安全意識向上施策の審議等を定例的に行い、本社と現場が一体となった安全施策の推進に取組んでいます。
 これら安全推進会議での審議決定により、安全マネジメント態勢におけるPDCAサイクルを確実に実践することができました。
② 安全統括管理者等による現場指導の取組み
 夏季輸送期間前および年末年始輸送期間前に、各職場での安全に対する取組みや課題等を把握するために、安全統括管理者や安全管理体制における各管理者等が安全管理規定に基づいた各現場の実態把握を行い、問題点の改善と指導を行うため安全点検を実施しました。また、社員との意見交換会や事故防止のための検討会等へも積極的に参加してきました。
③ 内部監査体制強化の取組み
 運輸安全マネジメント態勢の更なる強化を図るため2013年度、安全の確保に関する内部監査員研修に社員が参加し、管理部門や現業部門に対する内部監査をより効率的、実践的に行うための体制強化に取組んできました。
④ 教育、訓練と人材の育成
 当社では、輸送の安全確保のため、社員個々の担務に応じた研修講座、技術専門研修、労働安全衛生法等で定められている技能講習の受講、サービス研修等の実施、その他各種資格取得など、2013年度においても社員の技術継承や人材育成にも積極的に取組んできました。
 また、異常時対応の訓練として前年度に引き続きトンネル内に於ける列車火災を想定し、地元の消防機関等と合同でお客さまの救助訓練等を実施しました。なお昨年度は『ほくほく大島駅~虫川大杉駅間の霧が岳トンネル内にて火災発生とともに列車脱線が発生し前途運転不能』との想定で、お客さまの避難誘導および負傷者の救出や、車両の救援訓練を実施し、地元地域の関係機関との連携強化についても確認してきました。
 その他各現場においても、実際の設備を使用した異常時訓練や検討会などが自主的に開催されました。併せて本線における異常時対応能力の維持向上を図ることを目的に、臨時の訓練列車を運行し、より実践に則した乗務員実践訓練を実施しました。
【地元の消防署等との合同訓練】(防災訓練)
地元の消防署等との合同訓練
【本線を活用した乗務員実設訓練】(現車走行訓練)
本線を活用した乗務員実設訓練
【社員教育訓練】(サービス研修)
社員教育訓練
【軌道モーターカー・電気作業車の脱線復旧訓練】
軌道モーターカー・電気作業車の脱線復旧訓練
【主な教育訓練】
研修機関研修名受講者数
鉄道総合研究所 ヒューマンファクター事故分析法2名
安全の人間科学1名
鉄道沿線環境概論1名
コンクリート構造物の維持管理1名
災害事例に学ぶ鉄道防災1名
車両部品のメンテナンス1名
日本鉄道電気技術協会 移動体通信技術講座1名
運行管理システム講座1名
日本鉄道運転協会 運転関係指導者講習会2名
運転法規研修講座1名
労働基準協会など 刈払機取扱作業安全教育 2名
チェーンソー作業従事者安全教育2名
危険物取扱者保安講習1名
フォークリフト技能講習1名
ガス溶接取扱技能講習1名
その他 無線従事者(第3級陸上特殊無線技士)養成 4名
ネットワークの基礎2名
運転取扱研修6名
⑤ 運転関係社員に対する資質管理
 列車等の運転に直接関係する社員や施設及び車両の保守その他これに類する作業を行う社員に対しては、業務を行う為に必要な運転・医学適性及び知識及び技能を保有するよう社員一人ひとりの適性や知識、技能の確認を行なってきました。特に運転士においては、定例的な訓練や知悉度の確認、シミュレーター訓練等、質の高い資質管理の取組みを推進してきました。
 その結果、社員の取扱誤りに起因する鉄道運転事故の発生はなく、安定した輸送の確保に取組むことができました。
⑥ 運転士養成
 当社の運転士養成は、駅業務および車両の検査業務に従事後、社内教育及び東日本旅客鉄道株式会社様の動力車操縦者指定養成所に委託し、運転士としての知識を約6カ月間かけて学びます。その後、国家試験を受験し「動力車操縦者運転免許」の交付を受けた後に運転士としての業務に就くことになります。2013年度には3名の運転士を養成しました。
【運転士国家試験】
運転士国家試験
⑦ 安全のための投資と支出
 在来線での国内最速運転線区を維持するため、設備や車両の早期点検及び早期取替え等に力を注ぐと共に最新機器を用いた設備への更新工事を行ってきました。また、安全と快適な乗り心地を確保するため車輪やレールの削正なども実施しています。2013年度の主な安全投資は次のとおりです。
【主な安全投資】
◆普通列車車両の車体等の更新工事18,000万円
◆光搬送多重化装置4,200万円
◆落橋防止工事790万円
◆トロリー線張替1,900万円
◆レール削正2,000万円
◆分岐器部分交換540万円
【車体等の更新工事】
車体等の更新工事
事故等の発生状況とその再発防止措置
(1)鉄道運転事故
 2013年度の鉄道運転事故の発生件数はゼロであり、引続き無事故を継続することができました。また、過去5年間の鉄道運転事故や死傷者の発生件数も無く、安全輸送を継続しています。
【国土交通省に報告した鉄道運転事故(過去5年間)】
年度 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度
鉄道運転事故件数 0 0 0 0 0
死傷者数 0 0 0 0 0
※ 鉄道運転事故とは列車衝突事故、列車脱線事故、列車火災事故、踏切障害事故、鉄道人身事故、鉄道物損事故をいいます。
(2)災害(地震や暴風雨、豪雪など)
 2013年度における自然災害(地震・風・雨等)による輸送障害については、年間267本の列車が運休となりました。今後も引続き、自然災害に対する輸送障害の軽減に努めてまいります。
(3)輸送障害(30分以上の遅延や運休)
 2013年度の輸送障害は自然災害によるものが5件発生し、その内訳は風害4件、水害1件となっています。また、トンネル内から発煙していると近隣住民からの通報により、一時列車の運転を見合わせた事象が1件ありましたが(原因は気温差などによる水蒸気の発生)、係員による障害は発生していません。
 今後とも係員に起因する輸送障害「ゼロ」の目標に向けて、社員教育の充実及び基本作業の徹底を推進してまいります。
【国土交通省に報告した輸送障害】
年度 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度
自然災害 14 14 11 15 5
その他輸送障害 2 0 0 1 1
(4)インシデント(事故の兆候)
 2013年度は国土交通省へのインシデント報告はありませんでした。
(5)行政指導等
 2013年度は国土交通省・北陸信越運輸局様による、保安監査および運輸安全マネジメント評価が10月に実施されました。指摘事項ならびに行政指導等はありませんでしたが、講評の中でいただいたご指導を今後の安全の取組みに活かしていきたいと考えています。
(6)事故防止の取組み
① 安全検討会等の開催
 社員・協力会社と一体となった事故防止会議及びトロリー使用責任者講習会等を開催し安全意識の高揚を図りました。また、身近な事例を用いて自らがその原因と対策を考え、皆で議論する事故防止検討会を開催し、経営管理層から社員、協力会社社員が一体となってより高いレベルの安全風土を構築することができました。
【事故防止会議の模様】
事故防止会議の模様
【トロリー使用責任者講習会】
トロリー使用責任者講習会
【事故防止検討会】
事故防止検討会
② 監視カメラの活用
 「鉄道テロ」等に対する警戒体制の強化及び、お客さまに安全で安心をしていただける輸送を確保することを目的として、監視カメラによる録画装置活用しテロ等の防止に努めています。
③ その他
 十日町駅にAED(自動体外式除細動器)を設置しております。2013年度も定期的な点検整備を行うとともに、お客さまの不慮の事故に対し迅速な対応を行うことを目的に、救急救命講習を行いました。
お客さま、沿線の皆様とともに
(1)お客さまへの情報提供
① 運行情報の提供
 ほくほく線の列車運行状況をリアルタイムでお客さまにお知らせするために2012年度より全駅に運行情報表示装置を設置し、電車の位置情報をご案内しています。この運行情報はホームページに掲載しておりますので、ご自宅のパソコンやスマートフォンでもご覧いただけます。
② 情報提供
 北越急行ではホームページによる情報提供のほか、定例的に広報誌「ほっくんかわら版」等を発行し、臨時列車や沿線イベント等の情報提供をすることで、鉄道に対する理解を深めていただく広報活動を推進しています。
③ お客さまからのご意見
 お客さまからのご意見やご要望についてはお電話やメールのほか、各駅に備え付けられている「ご意見箱」により頂戴しております。お客さまから頂いたご意見は、経営トップをはじめ、社員指導の担当者が目を通し、サービス推進会議等の場で検討し必要な改善を図ると共に、お客さまに迅速に回答するよう努めています。
(2)お客さまへのお願い
① 踏切事故防止のお願い
 踏切での事故を防止するため、踏切に入る前には必ず一旦停止をして列車が来ないことの確認をお願いします。また、踏切内で車が立ち往生しないよう、踏切の先に自分の車が入る余地があるかを確認したうえで進入して下さい。万一立ち往生した場合は、踏切に設置してある「非常ボタン」を遠慮なく押していただくようお願いします。
② 十日町駅ホームの混雑緩和対策について
 朝の通勤通学時間帯におきまして十日町駅では、上り・下り列車の一方が遅れて同時に到着した際、お客さまが競合することによりホームや階段が大変混雑しておりました。その解決策として2014年3月のダイヤ改正より、到着に更なる時間差を設けて混雑緩和を図っております。これからも定時運行に努めてまいりますが、お客さまにおかれましても定時運転確保のため、無人駅でご乗車の際は乗車口付近に立ち止まらず、スムーズな中詰め乗車にご協力をお願いいたします。
③ 鉄道施設内でのお願い
 列車内や駅等においての犯罪行為や不審物を発見した場合は、直ちに運転士や駅係員にお知らせ下さい。またご乗車の際、駆け込み乗車は大変危険ですので皆様のご協力をお願いいたします。
④ 夜間作業へのお願い
 ほくほく線では日中時間帯に多くの列車が運行されていることから、事故防止のために線路や架線の取替作業等は深夜時間帯に行っています。そのため沿線の皆さまには工事による騒音や振動等でご迷惑をお掛けする場合もありますが、何卒ご理解とご協力をお願いいたします。
以上