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北越急行株式会社
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北越急行 安全報告書(2017)
利用者の皆さまへ

いつも「ほくほく線」をご利用いただき誠にありがとうございます。また、平素は弊社の事業運営に関しまして、ご理解とご支援をいただき深く感謝申し上げます。


弊社では、開業以来「常に『安全』最優先」を安全基本計画の最優先課題として目標に掲げ取り組んできました。その結果、鉄道運転事故の発生もなく順調な輸送を提供することができました。


2017年3月22日、『ほくほく線』は満20歳の誕生日を迎えました。開業当日から2015年3月13日まで、首都圏~北陸地域におけるメインルートの一翼を担う「特急はくたか」を運行し、安全安定輸送を何よりも最優先とし、2002年3月23日より、他社に例を見ない狭軌在来線における最高速160km/h運転を行ってまいりました。
特急はくたか号の運行終了後も地域を支えるローカル線として、鉄道会社の本分である『安全』に対する姿勢は揺らぐことなく、お客さま・社員ともに笑顔になれる鉄道『ほくほくスマイルレール』を目指し、便利で快適な輸送を提供するために、これからも安全・安定・安心輸送に取り組んで参ります。


輸送概況につきましては、2016年5月に設備関係のトラブルによって、一時区間運休をするなど列車ダイヤが大幅に乱れ、連休で訪れた多くのお客さまに多大なご迷惑をおかけ致しましたが、その他弊社に起因した輸送障害はなく1年を通して概ね良好でした。一方、自然災害につきましては12月、集中的な降雪もございましたが、冬季を通じての総降雪量としては例年より少なかったこともあり、自然災害に伴う輸送障害も比較的少ない状況でした。
ご利用者数としましては、前年度に開催された『大地の芸術祭』からの落ち込みも気になるところですが、120.7万人(昨年比94%)と、多くのお客さまよりご利用いただきました。これにより年間ご利用者数は8年連続の100万人(※)を達成することができました。(※普通列車のみのご利用者数)


私たちは、これからも鉄道事業者として各種法令等を遵守するとともに、輸送の安全確保をより強化するために社内における安全推進会議等を有効活用し、細部にわたる車両・設備の保守点検及び社員教育の充実に取り組むことで、引き続き安全で安心してご利用いただける鉄道を目指して参ります。
併せて、沿線地域の皆さまと共に歩む鉄道会社として、便利なダイヤづくりや快適な車両・設備の提供に努め、沿線の皆さまはもちろん、ご利用のお客さまに喜んでいただけるよう、各種イベント等も企画して参ります。


一方新たな事業展開として、2016年度中に準備を進めて参りました、佐川急便(株)との貨客混載輸送につきましては、2017年4月より営業を開始いたしました。これはお客さまがご利用される列車を使用する貨物輸送としては、第三セクター鉄道事業者として、国内で初めての取組みとなります。
また昨年度、弊社は旅行業登録をいたしました。話題の『超低速スノータートル』をはじめ、ほくほく線の魅力を存分に楽しんでいただける企画商品づくりにも取り組んで参ります。


この報告書は、2016年度に当社が取り組んできた事故防止や社内安全体制について、広くご理解いただくために公表するものです。


皆さまからの声を、輸送の安全や業務の改善に役立てたく、積極的なご意見を頂戴いただければ幸いです。

北越急行株式会社
代表取締役社長 渡邉 正幸
当社の安全体制

当社は開業当初から「安全・安定輸送の確保」を経営の最優先課題に据え、「安全な輸送こそが最大の使命」との強い決意のもと、取り組んできました。
これまで内部監査体制の確立、異常気象に起因する輸送障害の軽減、大事故を想定したリスク管理体制の構築、ヒヤリハットを共有するためのシステムの活用等、様々な取り組みを実施することで安全管理体制の強化を図ってきました。
その結果、開業以来今日まで列車脱線や列車衝突等、鉄道運転事故の発生はなく、併せてお客さまや社員および協力会社社員の死傷事故についても、発生はありませんでした。
なお、当社の安全管理体制については、次の表に示すとおりです。


【安全管理体制組織図】
安全管理体制組織図
安全統括管理者輸送の安全の確保に関する業務を統括する
運転管理者安全統括管理者の指揮の下、運転に関する事項を統括する
施設管理者安全統括管理者の指揮の下、鉄道施設に関する事項を統括する
車両管理者安全統括管理者の指揮の下、車両に関する事項を統括する
財務・要員管理者設備投資、財務及び要員に関する事項を統括する
乗務員指導管理者運転管理者の指揮の下、運転士の資質の保持に関する事項を管理する
安全を確保する取組み
(1)基本方針と安全目標
当社は、以下に掲げる指針を安全の基本方針として定め、社長以下全社員が始業時にこれらを唱和しています。
(1) 私たちは、基本動作を励行し、安全・安定輸送の確保を図ります。
(2) 私たちは、真心をこめたサービスに徹し、お客さまに信頼される鉄道をめざします。
(3) 私たちは、常に業務の刷新に努め、活気ある明るい職場をつくります。
この基本方針を達成するため、2016年度の安全計画では「常に『安全』最優先(お客さまと社員、協力会社社員の死傷事故:ゼロ)」という具体的な目標を掲げて、安全で安定した輸送サービスの提供に努めてきました。
また、2007年に制定した「社員行動規範」に則り、法令遵守と安全確保という大きな目標に向って全社員で実践してきました。
【安全綱領】
(1) 安全の確保は、輸送の生命である。
(2) 規程の遵守は、安全の基礎である。
(3) 執務の厳正は、安全の要件である。
【社員行動規範】
(1) 法令等の遵守と企業倫理に則った適切な行動
(2) お客さまに信頼される鉄道
(3) 社会への適切な情報提供
(4) 地域社会への貢献
(5) 個人情報等の厳正な管理
(6) 公正公平(適正)な取引
(7) 反社会的勢力に対する毅然とした姿勢・絶縁
(8) 会社財産の厳正な管理
(9) 働きやすい職場づくり

(2)輸送の安全確保のための具体的な取り組み
① 安全確保のしくみ
当社では安全統括管理者を議長とし、経営トップから各現場の長までを委員とした安全推進会議を社内に設置しており、安全計画で策定した実行目標の達成状況の検証や運転事故・傷害事故等の原因究明、再発防止策の検討、安全意識向上施策の審議等を定例的に行い、本社と現場が一体となった安全施策の推進に取り組んでいます。
これら安全推進会議での審議決定により、安全マネジメント態勢におけるPDCAサイクルを確実に実践することができました。
② 安全統括管理者等よる現場指導の取り組み
夏季輸送期間前および年末年始輸送期間前に、各職場での安全に対する取り組みや課題等を把握するために、安全統括管理者や安全管理体制における各管理者等が、安全管理規程に基づいた各現場の実態把握を行い、問題点の改善と指導を行うため安全点検を実施しました。また、社員との意見交換会や事故防止のための検討会等へも積極的に参加してきました。
③ 教育、訓練と人材の育成
当社では、輸送の安全確保のため、社員個々の担務に応じた研修講座など、2016年度においても社員の技術継承や人材育成にも積極的に取り組んできました。
また、異常時対応の訓練を地元の消防機関等と合同で実施しました。訓練内容は列車火災を想定したもので、まつだい駅~ほくほく大島駅間のトンネル内において、お客さまの避難誘導および負傷者の救出や、AED訓練等を実施し、地元地域の関係機関との連携強化についても確認してきました。
その他各現場においても、実際の設備を使用した異常時訓練や事故防止検討会などを自主的に開催しました。さらに、本線における異常時対応能力の維持向上を図ることを目的に、臨時の訓練列車を運行し、より実践に即した乗務員訓練を実施しました。
【地元の消防署との合同訓練】(総合防災訓練)
地元の消防署との合同訓練
【本線上での乗務員実設訓練】(現車走行訓練)
本線上での乗務員実設訓練
【搬送台車訓練】
搬送台車訓練
【レール応急処置器取扱い訓練】
レール応急処置器取扱い訓練
【検電・接地訓練】
検電・接地訓練
【モータカー応急復旧訓練】
モータカー応急復旧訓練
【モータカー貫通ブレーキ訓練】
モータカー貫通ブレーキ訓練
【主な教育訓練】
研修機関研修名受講者数
国土交通省関係 車両検修における技術継承研修会 2名
北陸信越鉄道協会 安全対策指導に関する技術研修会 2名
その他 無線従事者(第3級陸上特殊無線技士)養成 4名
運転取扱研修 5名
④ 運転関係社員に対する資質管理
列車等の運転に直接関係する社員や施設及び車両の保守その他これに類する作業を行う社員に対しては、業務を行う為に必要な運転適性、医学適性、知識及び技能を保有するよう社員一人ひとりの適性や知識、技能の確認を行ってきました。特に運転士においては、定例的な訓練や知悉度の確認、シミュレーター訓練等、質の高い資質管理の取り組みを推進してきました。
その結果、安定した輸送の確保に取り組むことができました。
⑤ 安全のための投資と支出
高速運転線区を維持するため、設備や車両の点検及び早期取替え等に力を注ぐと共に最新機器を用いた設備への更新工事を行ってきました。また、安全と快適な乗り心地を確保するため車輪の削正やレールの交換なども実施しています。2016年度の主な安全投資は次のとおりです。
【主な安全投資】
◆JR列車無線デジタル化対応工事4,000万円
◆レール交換(分岐器等を含む)3,300万円
◆虫川大杉駅構内ATS-P符号処理器更新1,200万円
◆六日町制御所蓄電池制御盤(電源装置)更新1,400万円
事故等の発生状況とその再発防止措置
(1)鉄道運転事故
2016年度の鉄道運転事故の発生件数はゼロであり、引続き無事故を継続することができました。また、過去5年間の鉄道運転事故や死傷者の発生件数も無く、安全輸送を継続しています。
【国土交通省に報告した鉄道運転事故(過去5年間)】
年度 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度
鉄道運転事故件数 0 0 0 0 0
死傷者数 0 0 0 0 0
※鉄道運転事故とは列車衝突事故、列車脱線事故、列車火災事故、踏切障害事故、鉄道人身障害事故、鉄道物損事故をいいます。
(2)災害(地震や暴風雨、豪雪など)
2016年度における列車の総運休本数は102本でした。殆どが自然災害(地震・風・雨等)によるものですが、前年度が記録的な小雪だった一方、2016年度は集中的な降雪等の影響もあって、運休本数としては昨年度より増加しております。今後も引続き輸送障害の軽減に努めてまいります。
(3)輸送障害(30分以上の遅延や運休)
2016年度の輸送障害は、自然災害によるものの発生が5件でした。一方その他の輸送障害については、設備故障と車両故障に起因するものとして2件報告しましたが、係員の取扱い誤り等に起因する障害は発生していません。 今後とも係員に起因する輸送障害「ゼロ」の目標に向けて、社員教育の充実及び基本作業の徹底を推進してまいります。
【国土交通省に報告した輸送障害】
年度 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度
自然災害 15 4 7 0 5
その他輸送障害 0 1 4 3 2
(4)インシデント(事故の兆候)
2016年度は国土交通省へのインシデント報告はありませんでした。
(5)事故防止の取組み
① 安全検討会等の開催
社員と協力会社が一体となったトロリー使用責任者講習会等を開催し安全意識の高揚を図りました。また、身近な事例を用いて自らがその原因と対策を考え、皆で議論する事故防止検討会を開催し、経営管理層から社員、協力会社社員が一体となってより高いレベルの安全風土を構築することができました。
② 監視カメラの活用
「鉄道テロ」等に対する警戒体制の強化及び、お客さまに安全で安心をしていただける輸送を確保することを目的として、監視カメラによる録画装置を活用しテロ等の防止に努めています。
③ その他
お客さまの“万が一”に備え、十日町駅にAED(自動体外式除細動器)を設置しております。
お客さま、沿線の皆様とともに
(1)お客さまへの情報提供
① 運行情報の提供
ほくほく線の列車運行状況をリアルタイムでお客さまにお知らせするために2012年度より全駅に運行情報表示装置を設置し、電車の位置情報をご案内しています。この運行情報はホームページに掲載しておりますので、ご自宅のパソコンやスマートフォンでもご覧いただけます。
② ホームページ
ほくほく線の運転状況や沿線の情報のほか、はじめてほくほく線を利用される方でも快適にご利用いただけるよう、ワンマン電車の乗り方・降り方、きっぷの購入方法等を掲載した『ご利用案内』ページを開設しています。
③ 情報提供
北越急行ではホームページによる情報提供のほか、沿線協議会より定例的に広報誌「ほっくほくマガジン」等を発行し、沿線イベント等の情報提供をすることで、鉄道に対する理解を深めていただく広報活動を推進しています。また、車内や十日町駅にて配布している当社社員の手作り情報誌「ほくほくめ~る」を発行するなど、お客さまに寄り添う取り組みを進めて参ります。
④ お客さまからのご意見
お客さまからのご意見やご要望についてはお電話やメールのほか、各駅に備え付けられている「ご意見箱」により頂戴しております。お客さまから頂いたご意見は、経営トップをはじめ、各部署の管理者が目を通し、サービス推進会議等の場で検討し必要な改善を図ると共に、お客さまに迅速に回答するよう努めています。

(2)新たな事業展開について
☆ 佐川急便(株)様との貨客混載事業
CO2削減と新たな収入源確保を目的として、2016年度中に佐川急便(株)との協業で貨客混載事業の準備を進めて参りましたが、年度内に準備が整い2017年4月より本格的に事業を開始いたしました。
貨客混載輸送につきましては、六日町駅~うらがわら駅間の定期旅客列車に荷物台車(カーゴ)を搭載し、運送をするもので、平日夜間の上下各1本の列車で実施しています。ご乗車のお客さまにはご迷惑をおかけすることがあるかもしれませんが、ご理解ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

(3)各種イベント等
☆ 超低速スノータートル
2015年11月7日に第1弾が実施された団体専用列車『超低速スノータートル』も、お客さまからのご好評により2016年度も3回実施されました。回を追うごとに新しい企画でご参加のお客さまにお楽しみいただいておりますが、2016年度はトンネル斜坑を外側からご覧いただく企画や、冬季除雪体験や除雪車のデモンストレーションをお楽しみいただいた後、雪見露天風呂で疲れを癒していただく企画もございました。


(4)お客さまへのお願い
① 踏切事故防止のお願い
踏切での事故を防止するため、踏切に入る前には必ず一旦停止をして列車が来ないことの確認をお願いします。また、踏切内で車が立ち往生しないよう、踏切の先に自分の車が入る余地があるかを確認したうえで進入して下さい。万一立ち往生した場合は、踏切に設置してある「非常ボタン」を躊躇なく押していただくようお願いします。

【踏切事故防止キャンペーンの様子】
② 定時運転にご協力のお願い
朝の通勤通学時間帯におきまして十日町駅では、上り・下り列車の一方が遅れて同時に到着した際、お客さまが競合することによりホームや階段が大変混雑しているため、到着に時間差を設けて混雑緩和を図っております。弊社も定時運行に努めてまいりますが、お客さまにおかれましても定時運転確保のため、無人駅でご乗車の際は乗車口付近に立ち止まらず、スムーズな中詰め乗車にご協力をお願いします。
③ 鉄道施設内でのお願い
列車内や駅等においての犯罪行為や不審物を発見した場合は、直ちに運転士や駅係員にお知らせ下さい。またご乗車の際、駆け込み乗車は大変危険ですので皆さまのご協力をお願いします。
また、他のお客さまに迷惑となる行為等についてはご遠慮いただき、乗車マナーを守ってすべてのお客さまが快適にご利用頂けますようご協力をお願いします。
④ 夜間作業へのお願い
ほくほく線では日中時間帯に高速で列車が運行されていることから、線路や架線の取替作業などのメンテナンスは事故防止の観点上、列車運行終了後の深夜時間帯に行っています。そのため沿線の皆さまには工事による騒音や振動等でご迷惑をお掛けする場合もありますが、何卒ご理解とご協力をお願いします。
⑤ 駅構内におけるスマートフォンなど携帯電話の使用について
駅構内におきまして、歩きながらのスマートフォンなど携帯電話のご使用は、お客さま同士の接触やホームからの転落の恐れもあり大変危険です。特にスマートフォンの位置情報を活用したゲームアプリ等をご利用の際は、他のお客さまの通行の妨げにならない場所に移動して、立ち止まってから使用するようお願いします。
以上