日頃よりほくほく線をご利用いただき誠にありがとうございます。また、当社の事業運営に関しまして、ご理解とご支援をいただいていることに深く感謝申し上げます。
当社では、開業以来「常に『安全』最優先」を安全計画の最重要課題として掲げ、安全・安定輸送の確保に取り組んできました。その結果、列車脱線や列車衝突等、鉄道運転事故を発生させることなく、併せてお客さまや社員、協力会社社員の死傷事故についても発生させることなく、安全な輸送を提供することができました。
2023年度は、大雨や雪害による運転見合わせや、区間運休などの大きな輸送障害の発生はほとんどありませんでしたが、2023年11月11日、六日町駅構内において架線が切断した影響により、2本の列車が全区間運休、9本の列車が区間運休となりました。2024年1月1日には、能登半島地震発生の影響により、地震発生から翌日にかけて、16本の列車が全区間運休、36本の列車が区間運休となり、ご利用のお客さまに大変なご迷惑をおかけしました。この地震に伴い、電気設備に軽微な異常を認めたものの、列車の運行に支障は無く、翌日には一部の列車および区間を除き、始発から運転を再開しました。
当社は開業から27年が経過しましたが、着工から開業まで約30年を要しており、50年を経過する設備もあるため、経年に伴う劣化等に対する点検保守にも引き続き努めて参ります。
今後も開業から現在に至るゆるぎない『安全』に対する姿勢をベースに、お客さま・社員ともに笑顔になる鉄道を目指し、安全・安定・安心輸送に取り組んでまいります。
2023年度のご利用者数は、91万7千人(前年比100%)と、ご利用者数の総計は前年度から変わりありませんが、定期券でご利用のお客さまが前年比約97%となったことに対し、旅行などで訪れる定期券以外のお客さまのご利用が、移動に対する制限が無くなった影響もあり、若干増えました(前年比約104%)。
一方、ほくほく線沿線では、少子高齢化や就業人口の減少が続いており、さらに動力費、燃料費及び材料費等の高騰により、他の第三セクター鉄道同様に厳しい経営状況が続いています。その状況を少しでも改善するために様々な施策を進めています。
2017年度より第三セクター鉄道初となる、佐川急便(株)との貨客混載輸送を実施しています。
2022年度より、ほくほく線を舞台とした「大地の芸術祭」公式作品『JIKU #013 HOKUHOKU-LINE』が鑑賞できる『芸術祭列車』の運行を開始しました。芸術祭開催イヤーの2024年度も、運行形態をリニューアルし7月から11月の間、指定日に運行します(運行日は当社ホームページをご覧ください)。
また、お客さまよりご好評をいただいている、鉄道のバックヤード見学ツアーや、2019年度に『鉄旅オブザイヤー』のグランプリを受賞した『ナイトタートル』など、ほくほく線をより楽しんでいただける取り組みにつきましても、引き続き実施してまいります。
私たちは、これからも鉄道事業者として各種法令等を遵守するとともに、輸送の安全確保をより強化するために、社内の安全推進会議等で安全に関する課題等の議論・検討・改善、細部にわたる車両・設備の保守点検の実施、社員教育の充実に取り組みます。そして引き続き、安全で安心してご利用いただける鉄道として努力してまいります。
併せて、沿線地域の皆さま、ご利用のお客さまと共に歩む鉄道会社として、愛され、親しんでいただけるよう取り組んでまいります。
この報告書は、2023年度に当社が取り組んできた事故防止や社内安全体制について、広くご理解いただくために公表するものです。お客さまからの声を、輸送の安全や業務の改善に役立てたく、積極的なご意見をいただければ幸いです。
代表取締役社長 小池 裕明
当社は開業当初から「安全・安定輸送の確保」を経営の最優先課題に据え、「安全な輸送こそが最大の使命」との強い決意の下、取り組んできました。
これまで内部監査体制の確立、異常気象に起因する輸送障害の軽減、大事故を想定したリスク管理体制の構築、ヒヤリハットを共有するためのシステムの活用等、様々な取り組みを実施することで安全管理体制の強化を図ってきました。
その結果、開業以来今日まで列車脱線や列車衝突等、鉄道運転事故の発生はなく、併せてお客さまや社員、協力会社社員の死傷事故についても発生させることなく安全な輸送を提供することができました。
なお、当社の安全管理体制については、次の表に示すとおりです。
【安全管理体制組織図】
安全統括管理者 | : | 輸送の安全の確保に関する業務を統括する |
運転管理者 | : | 安全統括管理者の指揮の下、運転に関する事項を統括する |
施設管理者 | : | 安全統括管理者の指揮の下、鉄道施設に関する事項を統括する |
車両管理者 | : | 安全統括管理者の指揮の下、車両に関する事項を統括する |
財務・要員管理者 | : | 設備投資、財務及び要員に関する事項を統括する |
乗務員指導管理者 | : | 運転管理者の指揮の下、運転士の資質の保持に関する事項を管理する |
① 私たちは、基本動作を励行し、安全・安定輸送の確保を図ります。
② 私たちは、真心をこめたサービスに徹し、お客様に信頼される鉄道をめざします。
③ 私たちは、常に業務の刷新に努め、活気ある明るい職場をつくります。
この基本方針を達成するため、安全計画において「常に『安全』最優先(お客さまと社員、協力会社社員の死傷事故:ゼロ)」という具体的な目標を掲げて、安全で安定した輸送サービスの提供に取り組んできました。
また、2007年に制定した「社員行動規範」に則り、法令遵守と安全確保を実現するべく、全社員で行動してきました。
② 規程の遵守は、安全の基礎である。
③ 執務の厳正は、安全の要件である。
② お客さまに信頼される鉄道
③ 社会への適切な情報提供
④ 地域社会への貢献
⑤ 個人情報等の厳正な管理
⑥ 公正公平(適正)な取引
⑦ 反社会的勢力に対する毅然とした姿勢・絶縁
⑧ 会社財産の厳正な管理
⑨ 働きやすい職場づくり
これら安全推進会議での審議決定により、安全マネジメント体制におけるPDCAサイクルを確実に実践することができました。
また、異常時を想定した対応訓練を地元の消防機関等と合同で実施しています。2023年度は、十日町地域消防署協力のもと、まつだい駅~十日町駅間の「十日町トンネル」内において、地震発生に伴う列車火災を想定した旅客救助及び避難訓練を実施しました。その後十日町駅コンコースにおいて救急救命講習を実施しました。
- 【地元の警察署・消防署との合同訓練】(総合防災訓練)
- 【カッター車取扱訓練】
- 【列車防護訓練】
- 【保守用車脱線復旧訓練】
- 【保守用車除雪装置応復旧訓練】
- 【保守用車貫通ブレーキ取扱い訓練】
- 【検電接地訓練】
研修機関 | 研修名 | 受講者数 |
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鉄道総合技術研究所 | 鉄道技術者のための地震工学・耐震設計入門 | 1名 |
鉄道におけるデータ分析・画像処理入門 | 2名 | |
日本鉄道電気技術協会 | 普通課程 電車線路の保全 | 1名 |
基礎課程 信号入門 | 1名 | |
高等課程 き電回路の絶縁設計と直流回路の保護 | 1名 | |
新潟県労働基準協会 | ガス溶接技能講習 | 2名 |
小型移動式クレーン技能講習 | 2名 | |
JR東日本新潟支社総合訓練センター | 運転士運転取扱訓練 | 3名 |
その結果、安全で安定した輸送の確保を実現することができました。
2023年度は2名の運転士を養成しました。年度末の動力車操縦者運転免許試験に合格し、2024年4月1日より運転士として乗務に就いています。
- 動力車操縦者運転免許試験の様子
◆橋りょう根固め工新設 | 2億223万円 |
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◆高架橋桁補強 | 3,240万円 |
◆電車線支持がいし更新 | 1,140万円 |
◆消雪設備ポンプ更新 | 630万円 |
◆ロングレール更新 | 969万円 |
◆HK100形電車定期検査 | 6,020万円 |
◆HK100形電車ギヤユニット軸受交換 | 563万円 |
◆HK100形電車交換部品(車輪・空気バネ等)購入 | 578万円 |
年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
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鉄道運転事故件数 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
死傷者数 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
今後も係員に起因する輸送障害「ゼロ」の目標に向けて、社員教育の充実及び基本作業の徹底を推進します。
年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
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自然災害 | 3 | 4 | 9 | 6 | 7 |
その他輸送障害 | 2 | 4 | 6 | 4 | 6 |
貨客混載輸送は、六日町駅~うらがわら駅間の定期旅客列車において荷物運搬用ボックスを座席上に積載し、荷物を運送するもので、平日夜間の上下各1本の列車で実施しています。ご乗車のお客さまにはご迷惑をおかけする場合があるかもしれませんが、ご理解ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
また、『クリスマストレイン』や『卒業メッセージ』など、普段ご利用いただいているお客さまに楽しんでいただける企画についても、引き続き実施してまいります。
- 【親子で行く車庫見学】
- 【ほくほく探検隊】
- 【ライスタートル】
- 【車庫&斜坑見学】
踏切事故防止活動の様子
またご乗車の際、駆け込み乗車は大変危険ですので余裕を持ったご乗車にご協力をお願いします。併せまして、他のお客さまの迷惑となる行為等についてはご遠慮いただき、乗車マナーを守ってすべてのお客さまが快適にご利用いただけますようご協力をお願いします。